OEMを委託するときのメリット・デメリット



はじめに

 OEMは、製造業者が自社ブランドではなく、他社のブランド製品を製造することです。
 OEM自体は、古くからあるようなビジネスで、製造業における下請業者の多くは、OEMメーカーということができるでしょう。

 しかし近年は、BtoBの企業同士の取引だけではなく、個人向けにOEMを行うような製造業者が出てきたり、OEMを依頼する際の最低ロットについて少なくても製造を行ってくれるOEMメーカーが出てきたりして、よりOEMを依頼しやすいような状況が出てきています。

 ところで、そもそもOEMを依頼したとき、どのような点でいいことがあるのでしょうか。逆に、OEMで製造を他社に依頼したときのマイナス面やよくないところは何なのでしょうか。

 このことから、OEMのメリット・デメリットについて、説明したいと思います。

 ビジネスの規模ややり方で、これらのメリット・デメリットが異なってきます。例えば、事業の規模が小さいときには、あるメリットは大きく発揮されますが、事業が拡大することで、そのメリットはなくなり、むしろデメリットが大きくなったりもします。

 このようなことから、OEMのメリット・デメリットをしっかりと把握しておきましょう。

メリット

製造部門をもたなくて済む

 何よりも大きなメリットとしては、工場や設備などを有する必要がなく、製造部門を持たなくてもよいということです。

 本当に小さな工場ならば別ですが、ある程度の製造を行おうとしたときには、一定規模の工場が必要です。設備などもいるでしょうし、大きな設備ならば、小さな工場では入りきらないという問題があります。
 そして、一定の製造を行う従業員も雇う必要があり、製造部門を持つには、非常に大きな資金が必要となります。

 現在、創業で製造業を始める人は少なくなっていますが、消費者の変化、産業構造の変化などといった事情以外に、初期投資が非常にかかるからです。

 また、建物などがあっても、都市計画法などの規制から、工場を稼働させることができないこともあります。

 このように、OEMを委託する方としては、製造部門をもたなくても、製品の製造ができるというのが、大きなメリットと言えます。

製造ノウハウが不要である

 工場や設備などを用意できても、製品を製造する技術・ノウハウがなければ、どうしようもありません。
 製品を加工する技術や設備を動かすノウハウがなければ、製品を製造できなかったり、製品を製造できても、仕損品や不良品を多く出すことになるでしょう。

 この点で、OEMで製造を委託すれば、委託先は製造技術やノウハウを有しているため、このような問題は生じないことになります。

在庫を低減できる

 OEMで製造を委託したとしても、売れなければ、その製品は在庫となってしまいます。

 ただ、OEMならば、少ない量での生産を行ってくれるところもあり、在庫リスクを引き下げることができます。

 自社の工場で製造を行ったときには、一定のロットを生産しないと、コストの削減ができないため、製品を多く製造しがちになります。
 しかし、売れなければ、当然、それらの製品は在庫になるため、自社製造の場合には、OEMに比べて、在庫リスクが高いともいえるでしょう。

固定費を低減できる

 在庫リスクと似たような話ですが、OEMでは固定費を低減できる可能性があります。

 例えば、製品が売れていない場合を考えましょう。在庫を減らすため、生産を縮小したり、工場の稼働をストップさせることが考えられますが、その減価償却費や人件費は固定費なので、製品を生産しなくても、コストは発生し続けることになります。

 OEMで生産を委託したときには、このような固定費は発生しないので、固定費を低減できる可能性があります。

企画・販売に注力できる

 OEMで生産を委託したときには、製造を行う必要がないため、人的リソースを企画や販売に集中させることができます。

 例えば、製品の企画・マーケティングに力を注いだり、製品のPR・販売に専念することができます。

デメリット

製造ノウハウが蓄積されない

 OEMに生産を委託したときには、製造を行わないため、当然ながら、製造に関する技術・ノウハウは蓄積されないことになります。
 製造に関する技術・ノウハウは不要という考えもあるかもしれませんが、製造を内製化しようとしても、難しくなることが考えられます。

製造における優位性を確保しにくい

 関連して、技術・ノウハウ自体、他社への優位性を発揮できるポイントであり、他社との差別化を図ることができる部分でもあります。
 しかし、OEMでは、製造を行わないため、製造という部分では、他社に対して、優位性を発揮できないことになります。

製品の差別化がしくにい

 OEMでは、他社の製造技術に頼ることになるため、その企業が有している技術以上の製品を製造することはできません。
 また、ライバル企業も同じような製品を製造できる状況でもあり、製品について技術的・機能的な面について、差別化を図りにくい面があります。

 例えば、プリントTシャツをOEMで制作することを考えましょう。オリジナルデザインのプリントTシャツを制作してくれるところは多くありますが、生地・素材、縫製などは規格化されていたりと、それらで違い・特徴を出すことは難しいことになります。

コスト高となる

 OEMにおいては、他社に製造を委託するので、元々の減価に加え、その企業の利益を含んだ価格で、製品を製造してもらうことになります。
 このため、在庫リスクを抱えにくかったり、固定費負担が少ないというメリットはありますが、そもそもとして、製品の原価は割高になります。

まとめ

 以上をまとめると、次のような表になります。

メリット デメリット
・製造部門をもたなくて済む
・製造ノウハウが不要である
・在庫を低減できる
・固定費を低減できる
・企画・販売に注力できる
・製造ノウハウが蓄積されない
・製造における優位性を確保しにくい
・製品の差別化がしくにい
・コスト高となる

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