
はじめに
何かの物を製造するにあたって、「型」が用いられることは、一般的に行われています。
このとき、OEMで製造をお願いするときに、「型」をどうするかは一つの問題です。
ある物を製造しようとしたとき、その物を成型する型が必要であり、型自体も製造する必要があるからです。そして、
「型の費用はどうなるのか」
「型の取り扱いはどうなのか」 など
といった問題が生じてきます。
そこでまず、製造において、なぜ型が必要なのかを含めて、初心者向けに説明したいと思います。
型の必要性
ある物を製造しようとしたとき、材料に何らかの加工を加えて、形を整えたり、ある形状にするということが行われます。
例えば、星形のチョコレートを作る場合を考えましょう。

1つの方法は、板チョコのようなものを切っていき、星形を作るというものが考えられます。また、溶けたチョコがある程度、固まった段階で、粘土細工のように、手作業で星形を形作ることもできるでしょう。
しかし一般的には、星形の型を用意して、溶けたチョコをその型に流し込み、星形を作ることが思い当たります。また、板チョコのようなものに、金属製の星形の型を押し込み、星形のチョコを板チョコから抜き取るという方法もあるでしょう。
このように、物を製造するにあたっては、材料を何らかの形にするということは一般的にある工程ですが、その方法としては、いくつかの方法があります。そして、その方法の代表的なものとして、「型」を用いるということが行われます。
特に、同じものを大量に作ろうとしたとき、型があったほうが、容易に製造を行うことができます。
上記の星形のチョコの場合で考えると、1つ1つ板チョコを手作業で切断して、星形を作るのは大変です。高度な機械などがあれば、うまく星形に切断してくれるでしょうが、当然ながら、機械を用意する必要があります。
しかし、型を用意すれば、型に溶けたチョコを流し込んだり、板チョコを金属製の型で抜けば、簡単に星形のチョコを作ることができます。
すなわち、「型」を用意することで、簡単により多く同じものを作ることができ、大量生産向きの方法であるといえます。
最低ロットと型
OEMで製造を依頼するときに、
最低ロット ○○個
という条件が付されていることが多くあります。
なぜ、このような条件があるかといえば、その1つの理由として、この「型」の問題があります。
型自体を製造するのに、一定の費用が発生しますが、顧客としては、1個あたりの製造費用が気になります。そこで、この型代を1個当たりの製造費用に含めて、表示しているわけですが、ある1個当たりの製造費用を抑えるためには、ある程度の量を作る必要があり、最低ロットという考えが生まれてきます。
例えば、型代として10万円かかり、1個当たりの製品を作るのに必要な材料と設備代を100円とします。
そして、この製品を100個作るのと、1000個作るので、1個当たりの製造費用を考えると、次のようになります。
(100個の場合)
総費用:10万円 + 100円 × 100個 = 11万円
1個当たり製造費用:11万円 ÷ 100個 = 1100円
(100個の場合)
総費用:10万円 + 100円 × 1000個 = 20万円
1個当たり製造費用:20万円 ÷ 1000個 = 200円
型代はあくまでも固定費なので、この固定費を補うため、多く作れば作るほど、1個当たりの製造費用は下がることになります。
逆に言えば、1個当たりの製造費用を抑えるには、一定の量を製造する必要があるということです。
また、最低ロットが要求されるのは、型代だけの問題ではありません。
型は機械や整備などに取り付けられることが多いわけですが、その型を取り付けたり、外したりする必要があります(段取り替え)。細かく何度もそのような作業を行うのは、製造する人からすると、手間暇がかかります。物によって、型の取り外し以外に、工程上に作業が増えたりすることもあります。
そして、この段取り替えの作業量もコストに含めて考えることになりますが、上記の型代の問題と同様に、一度に多くの量を物を製造したほうが、この段取り替えに伴う労務費も低下することになります。
以上のような理由から、OEMについて、最低ロットという概念が出てきます。
型の取り扱いにおける注意点
OEMにおいて、型が用いられることがあるわけですが、いくつかの注意点があります。
型の費用
型を製造するには、一定の費用が発生しますが、型の費用を、OEMを依頼するほうが負担するのか、OEMを受けるほうが負担するのかが問題になります。
型と言っても、製造する物によって異なりますが、例えば、プラスチックを射出成型で行うときに、金型が必要になりますが、型だけで数十万円かかってしまいます。
ただ一般的に、ネットなどで、OEMを行っているところは、製造費用に、型代が含まれていることが多いようですが、型代はどちらが負担するのかは、注意が必要です。
特に、1個当たりの製造費用が安いと思っても、別途、型代が発生すれば、依頼するほうで、今一度、製造費用の計算を行う必要があるでしょう。
また、型代自体も、当然ながら、高いところと安いところがあるので、依頼者のほうで型代を負担するときには、注意が必要です。
型の所有権
型について、型代という費用が発生しますが、型自体の所有権がどうなるかが重要になります。
取引が一回だけで終わるならば、問題はないでしょうが、同じ製品を何回も製造してもらうときには、一々新たに型を作ってもらうのではなく、すでにある型を何回も使ってもらったほうが、製造費用が下がります。
このとき、依頼するほうに型の所有権がなければ、OEMメーカーが勝手に型を廃棄したりしても、何も言うことはできません。
ただ、必ずしも、型の所有権を持たなくても、今後、継続して依頼するときには、どうなるかは確認しておくことが必要です。
型の保管
型については、通常は、OEMメーカーが工場などに保管しておくことになります。
このとき、OEMを依頼する方としては、(所有権の有無は別として)型はいつまでも保管しておいてほしいと思うでしょう。
逆に、OEMメーカーにとっては、型を保管するには、コストが発生します。型を工場のどこかに置くため、場所をとったりもしますし、適切に管理を行う必要もあります。
特に、製造業においては、古くから、元請が型代を負担したりはするのですが、それを下請に預かってもらう「預かり金型」などといった商習慣がありました。しかし、下請メーカーにとっては、型を預かること自体、保管費用が発生しますし、全く製造が行われていないような品番の型を保管し続けることは、負担が大きいと言えますが、下請という立場の弱さから、このようなことが行われています。
現在は、下請法の基準が改正され、過度な型の保管義務について、一定の基準・目安が設けられています。
中小企業庁「型を用いて製品を製造する全ての事業者の皆様方へ」
OEM初心者にとっては、下請法について気にする必要はありませんが、何度も製造をお願いするときには、型をどのぐらい保管してくれるのかなどには、注意が必要です。
なお更に細かい点でいえば、何らかの要因で、工場で保管していた型が破損などしたときには、どうなるかなどの危険負担の問題もあります。
まとめ
OEMで物の製造を依頼するときには、型の取り扱いについて、注意が必要です。
以上をまとめると、次の通りです。
型代の負担
型の所有権
型の保管期間